人文学研究科英語教育学専攻での2年間で、言語習得や言語処理に関する理論、実験計画やリサーチ・クエスチョンの立て方、データを収集し、分析する方法について、専門的な知識や実践的なスキルを身に付けることができました。入学時から、主にオンライン環境で学習や研究に取り組むこととなりましたが、先生方による多様な手法を駆使した講義や、熱心な個別指導、院生間のコミュニケーションを通して、修士論文を中心とした研究を円滑に進めることができました。特に、第二言語習得理論についての、各々の経験に基づいたディスカッションや、オンライン教材の開発や活用に関する実習、さらに、学術論文や他の研究について批判的に分析する力は、言語学習や外国語教育以外の幅広い分野にも生かすことができると思います。さまざまな背景や経験をもつ学生や、幅広い専門分野について熱心にご指導いただける先生方にお世話になり、大変感謝しております。 (広瀬八重子)
第2回『言語教育研究の実際』
主催:名古屋大学大学院人文学研究科 英語教育学分野
データの世紀といわれる21世紀、言語教育研究はどのような方向に進むのでしょうか。私たちは英語教育や第二言語習得に関する専門的な知識、コンピュータを使った実験ツールや教材開発のプログラミング、そしてデータの統計的分析やモデリングなど新しい時代に必要な技能と知識をそなえた人材の育成が使命と考えています。言語教育研究の現在を見据え、その未来を探るためにこの連続公開講座を企画しました。
- 教員、学生、一般の方どなたでも参加できます。
- 無料
日時:2021年11月6日(土) 9:55〜13:00
(オンライン懇親会 13:00〜14:00)
会場:オンライン開催
プログラム
9:55-10:00
あいさつ
10:00 〜 10:55
第一部 第二言語習得研究の始め方 ― 大学院入学から国際誌掲載までの3年間を振り返って ―
寺井雅人(名古屋大学大学院)
修士論文執筆、そしてそれがStudies in Second Language Acquisitionに掲載されるまでの経緯をお話します。掲載論文の内容だけでなく、掲載までの過程でど のような課題が存在し、それをどのように克服したのかを大学院生の目線から紹 介させていただきます。
11:00 〜 13:00
第二部 一般化線形混合モデルの実践 ― 気をつけたい三つのポイント ―
田村祐(関西大学)
本講演は,2014年12月にNagoya.Rというイベントで発表した内容(https://www.slideshare.net/yutamura1/ss-42303827)の改訂版という位置づけです。一般化線形混合モデルによる分析は普及がかなり進んだ一方で,まだまだそれを理解して使用するハードルは下がったとは言えません。そこで,今回は(1) 分析の方法,(2) 分析結果の報告,(3) 再現性の確保,という3つのポイントに焦点を絞り,実際に研究でこの分析手法を使う際に気をつけるべきことをお話します。
13:00 〜 14:00ころまでご自由に
オンライン懇親会
Spatial chat にて開催
参加申し込み
- 参加人数把握のため下記アドレスまたはQRコードから予約をお願いします。懇親会出欠もこちらでお願いします。予約と同時に受付メールが送られます。
-
以下のフォームにご記入いただきますと、参加情報(Webinar アドレス、懇親会アドレス)を記載したメールが自動返送されます。
参加受付:https://forms.gle/Ez4GmQC2JpS4j2R49
【チラシPDFダウンロード】
★英語教育学専門の博士前期課程を修了しました、橋崎と申します。英語教育学コースを修了して感じたのは、授業の質が高いこと、また研究科の先生方のサポートが手厚いということでした。授業は、ありがちな受け身な知識を詰め込むものではなく、自らの計画を発表し、ほかの学生の発表に対する意見をする能動的なものが主でした。また、プログラミングや統計など、一般企業に就職したとしても活かせるような、実用的な授業も多くありました。指導教員となっていただいた先生は、親切かつ熱心に指導をしてくださり、指導教員以外の先生方も嫌な顔一つせず質問や相談に乗って下さいました。2年間という短い期間でしたが、英語能力、論理的思考能力、統計能力などの多様なスキルが身につき、今後の人生に役に立つとても有意義な経験ができました。(橋崎諒太郎)
★長いようでとても短い2年間だったように思います。入学当初は、わからないことがたくさんあり、戸惑うことがありましたが、同期と支え合う中で学びを深めることができました。また、英語教育について、先生方や先輩方をはじめとする仲間たちと議論し合いながら、お互いを高め合うことができた2年間だと感じました。
研究では、自分が苦手な統計分析を先輩が熱心に教えてくださったことや、先生に研究の相談に乗っていただいたことも、とても印象に残っています。
大変なことのほうが多い2年間ではありましたが、とても充実した2年間でした。(岡本実希)
★英語教育学分野の博士前期課程の在学期間中は、今までの人生で一番幸せで充実した期間でした。第二言語習得研究の知識だけではなく、研究のために、統計学やプログラミングを勉強した経験は、これからの人生でも非常に役に立つと思います。英語教育学分野の先生は、知識が豊富で、学生に対してとても優しくて、細かいところまで研究の指導してくださいました。授業の合間や基礎研などで、いつも先輩や同輩と議論し合っていました。相談にもよく乗っていただきました。M2に入って、コロナ禍でも、ZoomとSlackと通じて、先生や先輩たち気軽に連絡ができ、授業の質は一切落ちませんでした。とても貴重な経験だと思っています。ありがとうございました。(張瓊支)
2021年1月6日締切で、以下の5本の修士論文が提出されました。
- Individual differences in sensitivity to L2 syntactic structure: cross-language syntactic congruency, language proficiency, and working memory capacity
- A corpus-based study of collocation errors in the case of the verb "learn" by Chinese English learners
- A study of stance markers in Japanese EFL learners' argumentative essays
- 中国語母語中級英語学習者のコロケーション認知処理について:動詞+名詞コロケーションと形容詞+名詞コロケーションの比較
- Does vocalization enhance L2 verb-noun collocation learning?
30名を超える参加者がありました。
前半、生田氏により、とてもプラクティカルな、心理言語実験のプログラムの作り方と、そのデータ処理への橋渡しの方法まで、丁寧な説明があり、まったくの初心者の人でも、これならできそうだと、思ってもらえたと思います。
また、後半、草薙氏により、英語教育にかかわるデータをもとにどうやって「モデル」を考えていくかということについて、経験談に基づき、順を追って、モデルの改善と研究の発展とが進んでいく様子を具体的に話していただき、刺激的で楽しい時を過ごすことができました。
お忙しい中、ご参加くださり、ありがとうございました。不定期ではありますが、今後も開催していきますので、どうぞ、ご参加ください。
第1回 言語教育におけるデータとモデリング
主催:名古屋大学大学院人文学研究科 英語教育学分野
データの世紀といわれる21世紀、言語教育研究はどのような方向に進むのでしょうか。私たちは英語教育や第二言語習得に関する専門的な知識、コンピュータを使った実験ツールや教材開発のプログラミング、そしてデータの統計的分析やモデリングなど新しい時代に必要な技能と知識をそなえた人材の育成が使命と考えています。言語教育研究の現在を見据え、その未来を探るためにこの連続公開講座を企画しました。
- 教員、学生、一般の方どなたでも参加できます。
- 無料
■ 日時:12月21日土曜 13:00〜15:30
■ 会場:名古屋大学東山キャンパス
文系総合館7階カンファレンスホール
■ プログラム
13:10-14:10 Building language experiments: An introduction to PsychoPy
生田 美希 (名古屋大学大学院 人文学研究科M2)
14:25-15:25 確率過程と英語教育に関わる諸現象
草薙 邦広 (広島大学 外国語教育研究センター 特任講師)
15:50- 懇親会(会場隣室)
(ソフトドリンクとスナック・菓子;懇親会会費は当日)
参加申し込み
- 参加人数把握のため下記アドレスまたはQRコードから予約をお願いします。懇親会出欠もこちらでお願いします。予約と同時に受付メールが送られます。キャンセルや変更は受付メール中の「編集」ボタンでできます。
- 予約なしでも参加できます。
参加受付: https://forms.gle/BCqN99oh1t9JneSP8
【チラシPDFダウンロード】
日時 11月27日(水) 午後6時~7時半
場所 名古屋大学(東山キャンパス)
・全体会 文学部棟237講義室(午後6時開始)
・個別相談会 文学部棟237講義室
10月1日に実施しました。
◆M2中間報告
・Figurative language processing in L2: Bilingual metaphor comprehension model
・Correlation between writing ability and writer/reader visibility based on a Japanese EFL learner corpus
・対連合学習における検索練習の方向が新出語彙の獲得に与える効果
・The English rhythm of Wu EFL learners
◆M1構想発表
・中国人英語学習者のコロケーションの使用に関する考察: コーパスにみられるtake, do, have, make, getを中心に
・語彙知識とコロケーション知識の相違について:Congruencyと受容・産出の観点から
・英語学習者の形容詞+名詞コロケーションの認知処理について:日本語母語と中国語母語の英語学習者比較
・フォーミュラ連鎖学習におけるシャドーイングの効果:明示的学習はどのように影響するか
場所 文総館4階 403講義室
2月1日(金)
10:30-11:30
名前 三上綾介
指導教員 山下(主)・杉浦・村尾
題目 理解性評価における測定方法の妥当性検証と構成素分析
11:30-12:30
名前 西島淳子
指導教員 杉浦(主)・山下・村尾
題目 英語習得初期段階における言語発達の比較研究
― L1・バイリンガル・L2の比較 ―
13:00-14:00
名前 けいうん
指導教員 杉浦(主)・尾関
題目 eラーニング教材を使用したシャドウィングの効果について
― 日本語および中国語を母語とした英語学習者を中心に ―