名古屋大学人文学研究科 Graduate School of Humanities / School of Humanities

言語学 Linguistics

大学院

 言語学がどのような学問であるかについて、専門家の間に統一された見解は無い。言語学は「人間のことばを研究対象とする」と述べる専門家もいる一方、「言語の研究は人の心の探求」であるとする専門家もいる。専門家全員に共有される「言語」の定義も無い。言語を文法と語彙から成ると事実上見做している専門家もいれば、文法と語彙と文脈(談話などの言語的文脈のみならず、社会・文化など言語を含むより広い文脈を含める場合もあります)から成るとする専門家もいる。一般に「言語は第一義的に話し言葉である」とされるが、話し言葉と書き言葉は連続的であると捉え、さらに手話をも言語に含める専門家もいる。このように、専門家の間で「言語」の定義が共通に決めがたいことから「言語学」は興味の方向も研究手法(場合によっては研究対象さえ)も異なる、様々な研究分野にとりあえずつけてある総称のような用語となっている。

 名古屋大学人文学研究科の言語学専門においてもやはり教員の研究分野や研究手法は多様である。それらの教員の研究に共通するものは、もちろん何らかの形で「ことば」に関わるということだが、それを除いては「事実や現象の緻密な観察に依拠する実証的な研究」であるということだ。名古屋大学人文学研究科の言語学分野・専門における言語学者達は、何らかの形で「ことば」に関わる事実や現象を、観察データに即して記述や説明をすることを目指している。

 言語学分野・専門における教員の指導可能領域は言語学の諸領域(統語論、形態論、音声学・音韻論、意味論、語用論、言語類型論、歴史言語学、社会言語学)、対照言語学(例:日韓(朝)・日中・日英語の対照)、認知・機能言語学、フィールド言語学、文法化研究、言語接触研究となっている。

 また、特に個別言語に特化した研究を行いたい入学希望生に対しても、言語学分野・専門には日本語、フランス語、朝鮮・韓国語、フィンランド語、トルコ語、ウズベク語、タジク語、チベット・ビルマ系、オーストロアジア系、タイ・カダイ系、およびフモン・ミエン系の諸言語に専門的な知識を持ち、日本語と英語、朝鮮・韓国語、中国語、クメール語、インドネシア語等の外国語との対照研究・指導に豊富な経験を有する教員がそろっている。

担当教員
学部

 人間は言語を使う動物であり、人間がこれまで築き上げてきた文明は、言語なしでは考えられません。ですから、言語がもっているしくみを知ることで、人間が自分を取り巻く世界をどのように認識し、どのような思考を形成しているのかを知ることができるわけです。その意味で言語学は人間を知るための最も基礎的な分野に属する学問です。

 世界の言語は表面的にはそれぞれ異なっていますが、本質的には共通性をもっていると考えられます。言語学は、世界の諸言語を広く深く追及することによって、人間活動の基礎としての言語の本質的特徴を解明することを目標としています。

 授業では、言語を分析するための基礎的な方法を学習します。これらには、言語音の成り立ち、語の成り立ち、文の成り立ち、意味の成り立ち、談話や社会の中でのことばの使い分けのもっともオーソドックスな分析法や、言語の間の相違点や類似性を表す方法、フィールド調査で得られた母語話者の内省(直観)に基づく判断や、電子化された大量のテクストデータ(コーパス)など多様な言語データを集める方法なども含まれます。これらを学ぶことで、言語に対する見方が変わるでしょう。(「水」としか知らなかった物質を化学式を習うことで「水素と酸素の化合物」としてみることもできるようになるのと同じような感じです。)

 これらの方法をできるだけ多様な言語に具体的に適用することによって、多様性の中に均質性が認められることを体験することにも力を入れています。そのためには、英語をはじめとする諸外国語にも関心をもつことが大切です。教員スタッフは、日本語、フランス語、朝鮮・韓国語、中央アジア言語、チベット・ビルマ系、オーストロアジア系、タイ・カダイ系、フモン・ミエン系の諸言語およびフィンランド語を専門としており、中国語やクメール語、西アフリカ言語なども研究対象としております。また、アイヌ語、インドネシア語、カパンパンガン語、コリャーク語、アイスランド語など、毎年さまざまな言語の専門家に講義を依頼しています。

担当教員

各学繋

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英語文化学繋

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歴史文化学繋

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