名古屋大学人文学研究科 Graduate School of Humanities / School of Humanities

日本文学 Japanese literature

大学院

 同時代の論理だけで生き、同時代の本だけを読んでいたのでは、気づかずに終わる重要な智慧が多くある。過去を生きた人たちと徹底的に対話することなしに、明るい未来はない。これがわれわれの考える人文学の要諦である。幸い日本は「書物の国」で、先人の配慮のおかげでたくさんの智慧が書き残された。殊に東西交通の要衝に位置するこの地方は、書物を調査する便に恵まれている。まず、書物をきちんと読むこと。それこそが日本文学研究室の仕事である。

 ただし、それは簡単ではない。文字の問題。言葉の問題。文脈の背景にある、世界観の変化の問題。これらは誤読をもたらす要因で、それを乗り越えるためには、たくさんの関連資料を見ないといけない。また、あらゆる文脈の可能性を吟味し尽くさないといけない。そのためにはいろんな人生、ものの考え方に対する想像力が必要だ。

 さらに、どのような人生が、その作品を生み出したのかを知るために、作家の伝記資料にも目を向けたい。純粋にテキスト(本文)だけを読むことは実りが薄い。そして、「書物」そのものにこだわりたい。古典は原典が残らないのが通例だ。書物は基本的に複製物ながら、現存する書物間にある微妙な差異を比較することに、書物を読み解く重要なカギが隠れている。

 要するに、昔の人が考えや思いを残した「書物」を、少しでも正確に読み取ること、そこから得た知見を公表して「書物」に新たな価値を付与してゆくこと。そんな仕事を、教員と学生とが同じ方向を向いて、一緒に切磋琢磨する所、それが名古屋大学の日本文学研究室と考えている。
※日本文学研究室の専門教員は、現在、中古文学と近世文学を専門とする二名により構成されている。これに加えて他専門に所属する中世文学や近現代文学などの日本文学関連教員とも密接な連携のもとに運営している。

担当教員
学部

 同時代の論理だけで生き、同時代の本だけを読んでいたのでは、気づかずに終わる重要な智慧が多くあります。過去を生きた人たちと徹底的に対話することなしに、明るい未来はない。これがわれわれの考える人文学の要諦です。幸い日本は「書物の国」で、先人の配慮のおかげでたくさんの智慧が書き残されました。殊に東西交通の要衝に位置するこの地方は、書物を調査する便に恵まれています。まず、書物をきちんと読むこと。それこそが日本文学研究室の仕事です。

 ただし、それは簡単ではありません。文字の問題。言葉の問題。文脈の背景にある、世界観の変化の問題。これらは誤読をもたらす要因で、それを乗り越えるためには、たくさんの関連資料を見ないといけません。また、あらゆる文脈の可能性を吟味し尽くさないといけません。そのためにはいろんな人生、ものの考え方に対する想像力が必要です。

 さらに、どのような人生が、その作品を生み出したのかを知るために、作家の伝記資料にも目を向けようと思います。純粋にテキスト(本文)だけを読むことは実りが薄いからです。そして、「書物」そのものにこだわることが必要です。古典は原典が残らないのが通例です。書物は基本的に複製物ですが、現存する書物間にある微妙な差異を比較することに、書物を読み解く重要なカギが隠れているからです。

 要するに、昔の人が考えや思いを残した「書物」を、少しでも正確に読み取ること、そこから得た知見を公表して「書物」に新たな価値を付与してゆくこと。そんな仕事を、教員と学生とが同じ方向を向いて、一緒に切磋琢磨する所、それが名古屋大学の日本文学研究室と考えています。

※日本文学研究室の専門教員は、現在、中古文学と近世文学を専門とする二名により構成されています。これに加えて他専門に所属する中世文学や近現代文学などの日本文学関連教員とも密接な連携のもとに運営しています。

担当教員

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